マッチングサービスの中には、ユーザー間での売上を仲介するタイプのサービスが存在します。
例えば『クラウドソーシング』や『M&Aマッチング』、『ライドシェア』『スキルマッチング』『デリバリーサービス』等です。
一見このような『マッチングサービス内でのお金の流れ』はシンプルに思えるかもしれません。
確かに、大まかな流れで言えばシンプルです。
しかし実際サービス内でお金を動かす際には、様々な手数料や、気をつけなければいけない点が存在します。
これらの内一つでも計算違いがあれば、赤字となってしまうかもしれません。
今回は、それらマッチングサービスの『売上振込』『売上分配』に関して、気をつけなければならない点についてご紹介します。
各支払いの度、手数料が発生
今回のような『仲介型』のマッチングサービスにおいて、お金のやり取りは基本的に2回発生します。『発注者から費用を受け取る時』と『受注者に報酬を支払う時』です。
その際それぞれで複数の手数料が発生するため、そちらを計算にいれる必要があります。
費用を受け取る際の手数料
まずは発注側から費用を受け取る際に発生する手数料です。
- クレジット決済手数料
- StripeやPay.jp等のオンライン決済サービスへの手数料
- 消費税
『クレジット決済手数料』は、ユーザーにクレジットを使わせる際、必ず支払わなければならない手数料となります。基本的に決済代行会社へ支払う形が多いです。
また、StripeやPay.jp等、オンライン決済サービスを利用する場合は、そちらに対しても手数料を支払う必要があります。サービスによってはコンビニ支払いや銀行振込等も使うことができますが、それぞれで手数料が規定されていますので、しっかりと確認しましょう。
また消費税や法人税、インボイス対応等も計算にいれる必要があります。
なおマッチングサービスに纏わる税金は、非常に複雑なため、本記事内では取り上げませんが、必ず税理士等に確認を取り、適切な税務処理を確認してください。
報酬を支払う際に発生する手数料
次にお金を動かすのは、実際の作業者に報酬として金額を支払う時です。
この時点でも、以下のような手数料が発生します。
- 振込先口座確認サービス手数料
- 銀行振り込み手数料
『振込先口座確認サービス』というのは、振込作業を行う前にその口座が存在しているかどうか、名義等は誤っていないかどうか、を確認できるサービスです。
マッチングサービス上では、受注側が口座情報を入力しそこへ振り込む事となるわけですが、全ての人が正しく口座情報を入力する訳では有りません。
なので、誤った振込を行わないよう口座確認サービス等を使って誤振込を防止することが重要です。
また、本人名義以外の口座に出金させないことで、不正利用防止、コンプライアンス強化等を図ることができるのも利点です。
ただし、『振込先口座確認サービス』には1件あたり数十円~百円程の手数料が掛かります。
また、実際に報酬を振り込む際にも銀行振込手数料が掛かります。こちらも計算に入れなければなりません。
いつ振り込むか・いつ振り込まれるか
取引仲介型のマッチングサービスを使う場合、『報酬をいつ受け取ることができるか』は、ユーザーにとって非常に重要な要素となります。
多くのマッチングサービスでは『月末締切・翌月末に振込』といった形態を取っているサービスが多くあります。
ただし1件あたりの報酬が少額の場合は、『◯◯円以上溜まったら出金可能』という形態を取ることもあります。(広告・アフェリエイトサービス等が多いです)
また、オプションサービスとして『即時出金』に対応しているサービスもあります。一定の手数料と引き換えに、報酬をすぐに受け取れるサービスです。資金繰りの厳しい個人事業主等には好まれるサービスでしょう。
ただし、そのようなサービスを行う場合は『クレジットの不正利用』『詐欺』『横領』等に用いられないよう、厳格な本人確認作業を挟む……といった対策が必要となります。
なお重要な点として、発注側が支払った費用を、プラットフォーム側(自分たち)がいつ受け取ることができるか、についてもしっかり確認しましょう。
まだ発注費用を受け取っていないにもかかわらず、報酬を受注者へ支払った場合、件数や規模によっては資金繰りに影響し、最悪ショートしてしまうこともありえるでしょう。
サービス開始前の時点で、金銭サイクルに欠陥がないか、よく熟考してください。
最低出金金額はいくらに設定するか?
先ほど少し触れた遠り、仲介する金額によっては少額の取引が行われることとなります。
しかしそのような取引が発生する度に出金を行った場合、振込手数料だけで利益が減少してしまうことになりかねません。
手数料をプラットフォーム側の負担にするか、受注者の負担にするかは制度次第ですが、どちらにとっても美味しくない結果になるでしょう。
なので多くのマッチングサービスでは『◯◯円から受取可能』という制度にしているのです。
なおこの問題を考える際、『利用者が希望したタイミングで支払いを行う』という案もあります。
もちろんそのような制度も可能なのですが、問題は『ユーザーがお金を溜め込みすぎた場合』です。
実は顧客から預かっている金額の『総額』が1,000万円を超えた場合、『内閣総理大臣への届出』および、『最寄りの供託所(法務局)への発行保証金の供託』を行わなければなりません。もし行わなかった場合は『資金決済法』に違反することとなります。
他にも、長期間資金を預かった場合『出資法』に違反することもあります。このような各種法令に違反しないよう注意して制度設計を行いましょう。
資金決済法、犯罪収益移転防止法、出資法など法律に遵守していること
マッチングサービスは各種法令に気をつける必要がありますが、それは恋愛系マッチング以外でも同じです。
本記事では抵触する法律をご紹介しますが、実際の基準・対応等の詳細は各自でご確認いただくようお願いします。
資金決済に関する法律(資金決済法)
クラウドソーシングやM&Aの仲介のような『金銭を預かる』サービスの場合、資金決済法上の「前払式支払手段」や「資金移動業」に該当する可能性があります。
該当した場合、内閣総理大臣への登録が必要となり、供託金の預入れ、情報の安全管理措置、利用者保護措置等が義務付けられます。
犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)
『犯罪収益移転防止法』は、マネーロンダリングやテロ資金供与を防止するための法律です。
一定の取引を行う際、『顧客の本人確認』『取引記録の保存』『疑わしい取引の届出』を行わなければなりません。マッチングサービスもこれに該当する場合があります。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)
色々と関係してくる箇所があるのですが、マッチングサービスで一番気をつけなければならないのは『長期間資金を預かった場合』です。
これは出資法に違反する可能性がありますので、一定期間経った場合、強制出金をするか、消失するよう明記しなければなりません。
こちらは後ほど詳しく扱います。
古物商・古物競りあっせん業
フリマアプリを運営する際、基本的に仲介するだけならば必要のない場合が多いです。
ただし、そのフリマアプリを使って自社で買い取りを行ったり、古物の営業を行う場合は『古物商』の資格が必要です。
またオークション形式で販売し、手数料を得る場合は「古物競りあっせん業」の届出が必要になります。
売上金額が長年保有された場合のポリシー
先ほど少し触れましたが、売上金額の保有には制限を設ける必要があります。
一見『ユーザーが放置することを選んだのだから、そのまま保持すればよいのでは』と思うかもしれませんが、『資金決済法』『出資法』等に違反する可能性が高くなります。
なので多くのフリマアプリやクラウドソーシング等のサービスでは、一定期間を過ぎると保留中の売上金額が消失することが明記されています。
大手サービスの消失期限
なお、この消失期限についても、しっかりと明記しなければ各種法令に違反するととなるので注意して下さい。
マッチングサービスを運営するには?
『マッチングサービス』は、今大変需要が高まり、急成長している分野です。
ただし、その運営は決して簡単ではありません。
TodoONadaでは、マッチングサービスを低コストに始める方法や、サービスで決めないといけないこと・運用方法等について本ブログでご紹介しています。
各記事をご拝読いただければ幸いです。
また本記事でご紹介した内容を含め、各形態でのマッチングサービスを低コストで開発したいなら『マッチングワン』がおすすめです。
『マッチングサービスを開発したいけれど、あまりコストは掛けられない』『必要な機能をしっかり揃えたい』という方におすすめなパッケージとなりますので、ぜひ一度ご相談ください。