デジタル時代の今、ITの活用は単なる効率化だけでなく、事業自体の競争力を大きく左右します。
……とはいいつつも、『ITの活用』とか『IT化』について、おそらく多くの経営者の方はこう思ってらっしゃるのではないでしょうか。
『IT化を行いたくても、導入を提案してくれる人がいない』『そもそもIT化で何を行えるのか分からない』と。
大丈夫かどうかは置いとくとして、そう感じられている経営者の方は少なくありません。
実施NURO AIの調査によれば、全国中小企業のうち、IT化未導入企業は39.2%、計画はしているが着手していない企業まで合わせると59%にまで及ぶそうです。
「なんだ過半数以上がまだIT化していないのか」と安心してしまいそうになるかもしれませんが、調査の続きによれば、IT化推進企業と未導入企業では年収の上昇率に大きな開きがあります。おそらく業績も同じでしょう。
今日ご紹介するのは、多くの経営者の方が『え、そんなことできたの』とよく反応されるIT化の事例になります。
……正直な所、詳しい方にとっては『むしろ今までしてなかったの!?』と驚くようなものも含まれていますが、本当に導入していない中小企業が日本に数多く存在しているのです。
なので今一度確認の意味も込めて、業務のIT化について本記事から知っていただければと思います。
社内メールボックスの共有化
IT化が進んでいない企業といっても、さすがに社内代表メールの共有自体はされておられると思いますが、
しかし『対応したかどうか』の共有や『送信メール』の共有についてはいかがですか?
実際、outlookで個人PCごとにメールを受信している企業さんをよく拝見します。
もちろんその方式でも、IMAP等の接続方式を使えば開封や送信メール等も同期されますが、
逆に『一番確認しないといけない人が見逃した』とか『サーバ上のメールボックス容量が足りなくなり、メールが受信できなくなった』という事故も起きがちです。
また、スパム対策やサイバー攻撃に対しても脆弱な対応しか取れません。
この点でおすすめなのは『Google Workspace』です。
送信メール等も共有できますし、『共同トレイ機能』をメールごとに担当者やステータスを設定することが可能になります。
迷惑メールやフィッシングメールの対策も万全です。
ただしGoogle Workspaceは最初の設定が非常に難しいため、
もし社内に詳しい人が居ない場合等は、『Mail Dealer』や『Mailwise』といったサービスのほうが使いやすいかもしれません。
自社に一番あったサービスを探してみましょう。
電子の契約書発行、請求書・見積書の作成
契約書・請求書・見積書等の書類に関して、さすがに手書きで書いている企業さんはもういないと思いますが、
しかし未だにExcelで作って印刷・郵送……という工程を踏んでいる企業さんは多くいらっしゃいます。
そういったケースでは『印鑑がないと信用されないのではないか』『取引先に不信感や手間を掛けさせるのでは……』という先入観をお持ちの場合がほとんどなのですが、
印紙代が無駄に掛かってしまったり、わざわざ一定期間内にスキャンして保存する必要が生じたり等、逆に迷惑となっている可能性があります。
特に2022年1月から施工されている改正電子帳簿保存法では、紙の契約書・請求書等について『スキャンした上で検索可能な状態にしておく』等、細かいルールが定められているため、知らないうちに取引先へ負担を押し付けてしまっているかもしれません。
また自社においても、従来の方式では書類の作成時間・印紙・郵送・管理の手間等がかかり、経費や人件費が無駄に費やされてしまいます。
なので、是非今すぐ電子契約・電子帳簿に対応した『MFクラウド』や『freee』等の導入を検討してください。
簡単に書類が作れるだけでなく、『改正電子帳簿保存法』に準拠した契約書送信や、制作者・送付日時の確認等、非常に便利な機能が多岐にわたって実装されています。
もし『改正電子帳簿保存法』に違反した場合は、青色申告の取り消しや、会社法による過料を課せられることもあります。
そのような自体に陥る前に、導入を行いましょう。
請求書の消込作業自動化で、ヒューマンエラー防止
また取引先から入金があった際、請求どおりに振り込まれているか、遅れが出ている取引がないか、というのはどのように処理されていますか?
代表者が銀行に行って記帳して……という企業さんはさすがに減ったかと思われますが、
ネットバンクに代表者様がログインし、入金記録を経理に伝え、経理が消込を行って……という作業を未だにしておられる中小企業さんもたくさんいらっしゃいます。
これは時間がかかるだけでなく、ミスや属人化が起きてしまうため、正直あまりいい方法とは言えません。
なのでぜひこの作業も自動化してしまいましょう。
先程挙げたような『MFクラウド』や『freee』といった会計ソフトを使えば、消込が自動化出来ます。
各種銀行と連携し、入金があった際には自動的に請求書が参照されて、入金済みのステータスへ切り替わるのです。
ちなみに経理の方が勝手に銀行口座を操作したり、出金したり……といったことは起こり得ないようになっています。
あくまで参照できるのは入出金明細だけです。その点は安心されてください。
シフト作成・管理の自動化
シフト管理は、非常に大変で頭を使う作業です。
特に接客業をされている方は、毎回シフト表を作るたびに頭を抱えているのではないでしょうか。
すべての従業員から希望シフトを集め、それをExcel上に並べます。この作業だけで数十分~1時間以上かかるでしょう。
それらを組み合わせてシフトを作っていくわけですが、ただ敷き詰めればいいわけではなく、しっかりお店が回るように組み合わせなければなりません。
スキルの習熟具合や、カバーできる作業等を勘案にいれて組み合わせを決めます。
お店の忙しくなる時間帯は厚くしなければなりませんし、コンプライアンス違反とならないよう、労働時間や休憩時間を考慮に入れなければなりません。
ここから更に、新人教育や人件費まで考えだした場合、頭がパンクしそうなぐらい重い作業となるでしょう。
Excelを巧みに使えば、各時間ごとのスタッフ数や、スタッフごとの労働時間等は計測することが出来ますが、
1つミスや病欠者が出ただけで、また調整に四苦八苦します。
そのようなシフト管理も自動化できるのはご存知ですか?
しかも単純に並べるだけでなく、スタッフから希望を取り、各時間の必要な人員を把握した上でそれに合うようにシフト組みを行い、更にスタッフとの共有まで行えます。
更には不足時のヘルプ募集や、勤怠との連携、人件費の算出まで行えるITサービスまであるのです。
もちろん利用には費用がかかりますが、一定人数以下は無料というサービスも少なくありません。
といっても、自動化にあまりいいイメージがない方もいらっしゃるでしょう。
『ただ配置すればいい訳では無い』『習熟具合や人間関係等にも配慮しなければならない』といった事情があるのも確かです。
しかしそのような事情をインプットできるシフト管理サービスもありますし、一度作った上で微調整を行ったほうが、位置から事情を計算して作るよりもはるかに簡単なはずです。
もちろんお店によってはどうしても自動化するのが難しいケースもあると思いますが、それも試してみなければわかりません。
是非一度試した上で、結論を下してみてください。
FAXで送られてきたデータを画像化し、内容を要約:ChatGPT
ここから先は『IT化が進んでいる企業でも導入していない』ような技術についてご紹介します!
まだFAXは業務で使われていますか?
使わない業種の方にとっては『まだFAX使ってるの!?』と驚かれるかもしれませんが、FAX自体は決して”時代遅れだから使われる”ものではありません。
フォントや解像度の環境に依存するデータと違い、FAXなら確実に元と同じ紙面をやり取りできます。
なので誤りが許されないような、医療・金融・不動産・建設・宿泊業等では今でも現役の通信手段です。
(よく”日本はまだFAXを使っている”と揶揄されますが、最もFAX市場が大きいのはアメリカです)
そのように”やり取りの上では”しっかりメリットがあるFAXですが、
受信し終わって社内で管理する……となると、残念ながら何のメリットもありません。
紙のままでは嵩張りますし、データで受信したとしても、中身の検索ができません。
FAXが現役の職場にいらっしゃる方なら、受信データを『これかな、いや違う』と片っ端から開いた経験がおそらくあることでしょう。
しかしその悩みも、もう解決することができます。
現在進行系で革命を起こしているChatGPTを用いることで、
FAXから『送信元・受信日時・受信内容の要約』を読み取りリスト化するという、今まで人間にしかできなかったことが可能になりました。
これで受信データを一覧にして見ることも出来ますし、内容を検索することもできます。
ただし、これはまだサービスとしてローンチされているものではなく、ChatGPT APIを使って、システムを構築する必要があります。(もしこのシステムを自社に導入したい、という場合はお問い合わせください)
カスタマーセンターの文字起こし
また同様にカスタマーセンター等で記録した音声データも、整理・分析がしやすくなっています。
まず文字起こしですが、これはChatGPTの開発元OpenAIが作った『whisper』という音声認識モデルがあります。
非常に高精度で、日本語の文字起こしにも対応しています。
更にそこへChatGPTを組み合わせれば、『顧客が何を求めていたのか』『スタッフはどう対応したのか』を整理してまとめることが出来るのです。
なおカスタマーサポートの文字起こしサービス自体は数年前から存在していますが、非常に高額であり要約にも対応していません。
しかしながら、『whisper』は1分あたりの文字起こし額が0.006ドル(執筆時点のレートで0.85円)と非常に安価です。30分の音声データでも26円しかかかりません。
更にそこからChatGPTに要約させるならば、データの統計や分析等も非常にやりやすくなるでしょう。
なお、これもサービスとしてローンチされているものではないため、導入を希望される場合はお問い合わせ頂く必要があります。
しかしながら、既存のサービスに比べて非常に低コスト・高コスパなやり方が可能なので、もし電話の比重が重い事業をされておられる場合は是非導入を検討されてください。
『何をしたいか』について、IT企業側は知りたがっている
序盤に書いた通り、ここまでご紹介してきたのは、何人かの経営者の方が『え、そんなことできたの』と反応されたシステムの一例です。
もしこの中で、自社で利用していないものがあれば、是非導入を検討されてください。
導入した瞬間、IT化が進んでいない69%の企業より効率よく業務を回すことができるようになるでしょう。
そして是非お願いしたいのは『システム会社と日頃からやり取りを行う』ことです。
一般的な企業の方が『ITで何をなし得るか』について知りたいのと同じぐらい、システム会社としては『何を効率化したいのか』という情報を欲しいと感じています。
ネット上には最先端のIT技術についてはたくさん情報が溢れていますが、IT化されていない分野についての情報は全く上がっていません。
システム会社がどれだけ画期的なサービスを作りたいと思っていても、その需要が掴めなければ何も動けないのです。
もしIT化が進んでいない中小企業とシステム開発会社が結びつけば、単純に業務効率化を図れるだけでなく、システム会社側もそこを足がかりに需要を掴んだサービスを展開することが出来ます。
なのでどういうところを効率化したいか、何で困っているのか、といった点を遠慮なくお問い合わせください。
あなたの相談から、新たなイノベーションが生まれるかもしれません。