今回は、マッチングサービスを開発するに当たり、気になる点・重要な点を1つの記事でご紹介します!
開発する際の一連の流れや、必要コスト・開発期間等、これからマッチングサービス事業の立ち上げを検討される方に役立つ情報となっています。
是非ご一読いただき、事業計画を立てる際の参考にされてください。
マッチングサービス開発の流れ
マッチングサービスのシステム開発は、以下のような流れで進んでいきます。
1.ヒアリング・機能の洗い出し
まずは開発会社にお問い合わせください。
一概に『マッチングサービスを作る』といっても、その形態・機能は様々です。
誰をターゲットとしているのか、収益モデルはどのようなものか、競合はどういった工夫をしているのか、その競合とどのように差別化を図るのか……といった点を話し合い、機能の洗い出しや戦略の策定を行います。
なおマッチングサービスのビジネスモデルについては、下記記事もご参照ください。
2.要件定義・お見積り
ある程度形が決まったら、次に要件定義を行います。
先ほど洗い出した機能を元に、どのようなインフラやシステム・画面が必要になるのか、どれを設計し、どれを外から持ってくるのか……といった点を決定します。
更に、その要件でサービスをリリースした際、考えられるリスク(セキュリティやクレーム等)を想定し、対策についても検討します。
それらすべてが終わった後、作業量の計算、及び見積もりの作成を行います。
3.開発
見積もりに合意いただければ、契約の後、開発がスタートしますが、
この際気をつけていただきたい点としては『必ず進捗確認を行ってください』
どれだけ綿密に打ち合わせを行ったとしても、形になるに連れ問題点が顕になります。
開発側から見えてくるものもありますし、運営側から見えてくるものもあるでしょう。
そういった問題点はいち早く発見し修正について協議することで、開発の遅延やプロジェクトの炎上を防ぐことができるのです。
最低でも週に一度は打ち合わせを行い、成果物について確認を行いましょう。
4.テスト・リリース準備
開発が完了すれば、次はテストを行います。
システム的なテストや負荷テストももちろん行いますが、発注側として重視したいのはユーザー目線での使用テストです。
『わかりにくいUIになっていないか』『誤解を招く表現となっていないか』といった点を、ユーザーの目線に立ってテストしてみましょう。
また、これと合わせてリリース準備を行います。
広告出稿の準備や、アプリ審査、サポート体制の確立と運用マニュアルの作成、モデレータの教育等、あらゆることを行わなければなりません。
大規模サービスであれば、テスターへの依頼や障害時対応、法務相談窓口の確保等も行いましょう。
リリース・改善
いよいよリリースになりますが、『リリース』は『ゴール』ではなく『スタート』です。
最初からすべてがうまくいくサービスはありません。
ユーザーの離脱箇所や利用状況等を分析し、改善出来る箇所を探します。そうやってPDCAを回し続けることにより、利用者がだんだんと増えて行って大きなサービスになるのです。(この点については詳しく後述します)
マッチングサービスの開発手法・種類
開発には、主に2種類の方法が使われます。『ウォーターフォール』と『アジャイル』です。
ウォーターフォール
1つ1つの工程を着実に終わらせてから、次の工程に進む開発手法を『ウォーターフォール・モデル』と言います。
『滝』を意味する名がついているのは、決して前の工程に戻ることがないことを意味しています。
滝が高いところから低いところに落ち、後戻りすることのない様子からこのような名前がついているのです。
ウォーターフォール開発では、未完成のまま次の工程に進むことがないため、『複雑なシステムでも高い品質を保った開発』が行えます。
また開発がどこまで進んでいるのか一目瞭然なので、『多人数でも進捗管理が行いやすい』といったメリットがあります。
一方で、その不可逆な進み方から『途中の仕様変更が効かない』というデメリットもあります。終盤で良いアイデアを思いついたとしても、前の工程に戻ることが難しいので実装は困難です。
更に、前の工程が終わらなければ次の工程に着手できないため『スケジュールが長期化しやすい』というデメリットもあります。
アジャイル
もう一つの開発手法が『アジャイル・モデル』です。こちらは機能単位で1つずつ開発していく手法になります。
アジャイル開発の場合、まずは優先度の高い機能を作成します。例えばログイン機能・会員登録機能・マッチング機能等です。他の機能は作っていなくとも、テストまで終わらせてしまいます。
そしてそれらが完了したら、次に残った機能を順次開発していくのです。(複数チームが開発する場合は、手分けして開発していきます)
アジャイル開発のメリットは『要件変更にも柔軟に対応出来る』点です。
もし開発途中でもっと良い仕様を思いついたならば、可能な範囲で適用する事ができます。
これは開発後にも言えることで、顧客が必要だと感じたサービスならば、順次追加することが可能です。
一方でデメリットとしては『進捗管理が複雑化』し、結果『開発の長期化や炎上が発生しやすい』点が挙げられます。
機能ごとにバラバラな進捗状態となるため、今どの機能がどこまで進んでいるのか、といった点が把握しにくくなります。
結果スケジュールが破綻し、予定のリリース日に間に合わない、といった事態が生じてしまうのです。アジャイル開発にはそういったリスクもあります。
マッチングサービスの開発環境や言語
マッチングサービスの開発に使う、主要な環境・言語は以下のとおりです。
どの環境・言語を使うかは開発会社によって異なります。また、小規模開発ではWordPressやノーコード開発を行うこともあります。
環境 | AWS、GC、Azure、OCI…等 |
バックエンド | PHP、Python、Ruby、Go…等 |
フロントエンド | JavaScript(Vue、React、Next.js、Nuxt.js、Remix)…等 |
※スマホアプリの場合 | iOS(Swift)、Android(Kotlin)、マルチ対応(ReactNative、Fultter)…等 |
データベース | PostgreSQL系、MySQL系 |
決済代行 | Stripe、Pay.jp、Paypal、各種ペイメント会社…等 |
メールスタンド | SendGrid、MailChimp…等 |
Push通知 | OneSignal、Push7…等 |
マッチングサービスの開発費用
開発時に必要となる費用についてですが、こちらは機能・インフラ・依頼する開発会社によって異なります。
例えば『高機能で数万人規模の利用にも耐えられるマッチングサービスを松』『基本機能のみのマッチングサービスを梅』として、TodoONadaに依頼した場合、おおよそ下記のような規模となります。
なおこちらは『Webサービス』として開発した場合の費用です。また、宣伝費等は含まれていませんのでご注意ください。
プラン | 松 | 竹 | 梅 |
---|---|---|---|
サービス開発費用 | 600万円~ | 400万円程度 | 200万円程度 |
こちらを『スマートフォンアプリ』として開発する場合、費用が上がります。(android・iPhoneそれぞれに対応が必要なため)
その場合の費用感は以下の通りです。
プラン | 松 | 竹 | 梅 |
---|---|---|---|
スマホアプリ開発費用 | 800万円~ | 600万円程度 | 400万円程度 |
なおこれらの費用は、色々な工夫でやすくすることが可能です。
それについては下記記事にてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。
マッチングサービスの開発期間
開発期間についてもご紹介します。
松竹梅の違いについては、先程と同じです。
なおこちらは『純粋な開発期間』であり、『必要な素材の準備期間』や『アプリの審査期間』は含んでおりません。またあくまで目安の期間となりますので、あらかじめご注意ください。
プラン | 松 | 竹 | 梅 |
---|---|---|---|
サービス開発期間 | 9ヶ月~ | 6ヶ月程度 | 3ヶ月程度 |
こちらも先程と同様、スマートフォンアプリの場合は開発期間が更に多くなります。
プラン | 松 | 竹 | 梅 |
---|---|---|---|
スマホアプリ開発期間 | 11ヶ月~ | 8ヶ月程度 | 5ヶ月程度 |
開発期間については、下記記事にて詳しく解説しています!
マッチングサービスの開発後に行うこと
先ほど『リリース』は『ゴール』ではなく『スタート』と書きましたが、実際マッチングサービスを立ち上げる際、開発中より開発後のほうがやることは多いです。
ここでは、開発後に行うべきこと(開発期間中に準備しておくべきこと)についてご紹介します。
マーケティング
- 広告展開
-
マッチングサービスでは広告展開がほぼ必須です。どれだけ良いサービスでも、最初から人が来てくれる事はありません。よって広告展開が必要となります。
WEB広告が一番親和性が高いので、検索広告やSNS、バナー広告、アプリ広告等を検討してください。
場合によっては紙媒体や業界紙への出稿も効果的です。(恋愛系の場合、法令を遵守する必要があります) - SNS
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リリース後は、XやInstagram、Facebook等のSNS運用も行いましょう。
SNSは効果がなかなか出にくいので最初は苦労しますが、獲得したフォロワーはそのまま財産となります。
長期的に見れば効果のある施策です。 - 営業活動
-
BtoB・BtoCのマッチングサービス(ビジネスマッチング等)では、営業活動も必須です。
是非サービスを使ってもらい、フィードバックを求めてみましょう。
知名度の高い企業に使ってもらえたのであれば、公式サイトへロゴの掲載等も打診してみてください。 - 代理店との協議
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これもBtoB・BtoCのマッチングサービスで効果を発揮する手法です。
マッチングサービスでは『名簿を持っている企業』が大きな力を発揮します。
すでにその分野で多くのつながりを持っている企業へ、代理店契約を打診してみましょう。多数の会員獲得を狙うことができます。 - 展示会出店
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『展示会』と聞くと、工業や飲食といったメーカーの営業手法のように思われるかもしれませんが、『WEBサービス』の展示会も一般的に行われています。
ちょうど現在(執筆時点)行われている『スタートアップジャパン』でも複数のマッチングサービス運営会社が出展しています。
ぜひこういった機会にも積極的に参加してみましょう。
運用保守
- サービス維持・保守
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機械にメンテナンスが必要なのと同じく、システムも保守をしなければ正常な動作が保証できません。
特にリリースしてしばらくは、エンジニアの稼働時間を確保して保守に当たる必要があります。
こちらのコストはケース・バイ・ケースですが、おおよそ開発費用の3~5%を、月額の保守費用に充てることが多いです。 - サーバ利用料
-
またそれら保守料とは別に、サーバ等の利用料も必要となります。
AWSやGC等を利用するとして、利用者数や負荷等にもよりますが、おおよそ月2万円以上はそれらサーバ利用に掛かると思ってください。
またメールスタンドやPush通知サービスを使う場合は、更に上乗せでコストがかかります。 - 監視・BAN・通報・開示等の対応
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マッチングサービス(特に恋愛系マッチングサービス)では、時に犯罪行為が行われることがあります。
未成年者の登録や、ロマンス詐欺、不適切な言動、誹謗中傷等、悪質なものについては、アカウントの停止や警察への通報等が求められるでしょう。
またそこまでいかずとも、スパムや営業活動、虚偽の情報を入力する……といった行動が行われていないか監視し、適切な対応をする人員が必要です。これらの人件費コストも必要となります。
機能改善
また、機能を改善していくことも必要です。(どれだけ初期に開発費を掛けた大手サービスでも、機能改善を行わない例はありません)
- 最新トレンドの追従
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マッチングサービスには『トレンド』があります。
例えば恋愛系マッチングサービスで言えば、過去に『Tinder』がスワイプによるマッチング操作を導入し、以後それがサービスの主流となりました。
こういったトレンドをうまく捉えるのも、サービスを成功させるコツの一つです。 - 法令への対応
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マッチングサービスの運営元には厳格な法令が課せられており、時に短い期間での対応を求められることがあります。
例えば2008年の『改正出会い系サイト規制法』ではサービス運営元に『生年月日を証する書面の確認』が求められました。
これらの法令を無視した場合は、行政処分によるサービス停止等も考えられますので、確実に対応出来るようにしましょう。 - セキュリティ対応
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マッチングサービス内でやり取りされる内容は、個人・企業にかかわらず、重要な機密情報です。
よってサービスには厳格なセキュリティ対応が求められますし、クラッカー・ランサムウェアの標的にもなりやすいです。(各国の出会い系サイトが、実際に被害を被り、身代金を求められています)特に新たに見つかった脆弱性を突く『ゼロデイ攻撃』は大きな脅威となっているため、それらにいつでも対応できる体制作りが必要です。
- バージョンアップ対応
-
前述した『セキュリティ対応』のためにも重要なのが『バージョンアップ対応』です。
『セキュリティ対応』以外にも、バグを直したり、サービスの高速化を図る……といった理由で、日々バージョンアップへの対応は不可欠となります。
万一バージョンアップを行わないまま、情報流出や企業への損害を与えた場合は、裁判で不利になることも考えられます。必ずバージョンアップ対応が行える体制を維持してください。
マッチングサービスを運営するには?
『マッチングサービス』は、今大変需要が高まり、急成長している分野です。
ただし、その運営は決して簡単ではありません。
TodoONadaでは、マッチングサービスを低コストに始める方法や、サービスで決めないといけないこと・運用方法等について本ブログでご紹介しています。
各記事をご拝読いただければ幸いです。
また本記事でご紹介した内容を含め、各形態でのマッチングサービスを低コストで開発したいなら『マッチングワン』がおすすめです。
『マッチングサービスを開発したいけれど、あまりコストは掛けられない』『必要な機能をしっかり揃えたい』という方におすすめなパッケージとなりますので、ぜひ一度ご相談ください。