マッチングサービスを事業としてこれから始める方、もしくは今の事業を拡大するにあたり、マッチングサービス事業を検討しておられる方に、ぜひ検討していただきたいことがあります。
それは『補助金・助成金の活用』です。
『補助金を受け取れる企業はごく一部だ』と思っておられる方もいらっしゃいますが、そのようなことはありません。
むしろ中小企業の6割が補助金を利用しているといったデータも存在します。
今回はマッチングサービスの開発に使える補助金についてご紹介します。
それぞれ額や対象が異なっているため、ぜひご自身が当てはまる補助金を探してみてください。
※なお今回の記事は2024年度の各補助金概要を元に解説しています。2025年度にはまた変更が加わるかもしれないためご注意ください。
小規模事業者持続化補助金
最も採択数が多く、小規模事業者にとって使いやすい補助金が『小規模事業者持続化補助金』(通称:持続化補助金)です。
補助金名 | 小規模事業者持続化補助金 |
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補助上限額 | 50万円〜200万円(要件により異なる) |
補助率 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4) |
補助対象 | 常時使用する従業員数が”商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く) “の場合5人以下 それ以外の業種は20人以下であること 個人事業主利用可 |
マッチングサービス事業で認められる費用 | マッチングサービスの企画・開発 集客のためのウェブサイト制作(単体不可) サービス認知度向上のための広報活動(単体不可) |
注意点 | 申請書内文章の作成・提出・商工会議所等の審査が必要 |
まず補助上限額についてですが、こちらは『50万円〜200万円』となっています。
大きく開きがありますが、通常枠の場合50万円までの補助。賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠の要件を満たせば、200万円までの補助が受けられます。
そして補助率は『2/3』です。
この補助率というのが少しわかりにくいかもしれませんが、
例えば“150万円”で補助対象事業を行った場合、補助金として戻って来るのが2/3である”100万円”、
あとの”50万円”は自己負担になります。(また消費税も自己負担になります)
なお補助事業自体は、300万を超えても構いません。ただしその場合も補助上限は200万円(通常枠ならば50万円)になるのでご注意ください。
補助対象は『常時使用する従業員数が、商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く) “の場合5人以下、それ以外の業種は20人以下であること』とされています。
※”常時使用する従業員”の定義については、非常に細かいのでこちらからご確認ください。(PDF)
もしオーバーしている場合は、残念ながら申請が不可能ですので、IT補助金やものづくり補助金の利用を検討されてください。
ちなみに個人事業主の申請は全く問題有りません。
また『マッチングサービス事業で認められる費用』としては『企画・開発費』『ウェブサイト制作費』『サービス向上のための広報活動費』が認められます。
注意していただきたい点としては『ウェブサイト制作費』『サービス向上のための広報活動費』は単体としての利用が認められていません。
これはどういう事というと、例えば『マッチングアプリ自体はすでに開発済だが、その広報費や宣伝のためのHP作成費を補助金として賄いたい』というケースでは、審査が通らないということです。
(ただしWEBサイト上でマッチングサービスを1から立ち上げる場合は、開発費用になるため問題ないかと思われます。念の為商工会議所に相談されてください)
IT導入補助金
従業員5人以上の中企業におすすめなのが『IT導入補助金』です。
こちらは大企業でなければ利用ができるため、売上が数十億あるような企業でも申請が可能です。
補助金名 | IT導入補助金 |
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補助上限額 | 50万円〜450万円(要件により異なる) |
補助率 | 通常枠は1/2、インボイス枠はおおよそ2/3 |
補助対象 | 資本金・従業員規模が規定された規模を超えないこと (どちらか片方が基準以下であれば申請可) 納税証明書発行が可能であること 個人事業主申請可 |
マッチングサービス事業で認められる費用 | ITツールとして登録されたマッチングサービスパッケージ 及びそれに付随する、登録された役務 |
注意点 | 登録されたITツール以外の申請不可 IT導入支援事業者と共同での申請が必要 |
まず補助上限についてですが、こちらは『50万円~450万円』となっています。
ただし申請枠によっては150万円までしか申請できないこともありますし、後述する『ITツール』の登録された金額によっては、更に低い上限額になることもあります。(後ほど詳しく扱います)
補助率については『通常枠は1/2、インボイス枠はおおよそ2/3』となっています。
インボイス枠については、50万円未満の部分が3/4(小規模事業者は4/5)補助されるという、大変ややこしい計算が必要になるのですが、おおよそ2/3補助されると思っておけば問題有りません。
※詳しく算出したい方はこちらをお使いください
補助対象は『中小企業・個人事業主』が対象となります。
中小企業の定義としては『資本金・従業員』の上限が決められているため、そちらをご確認いただければと思います。
なおここで注意していただきたい点としては、企業規模が補助対象に収まっていたとしても『納税証明書が発行できない』ために、申請が不可となることがあります。
設立して1期が経ち、法人税を収め、納税証明書が出せる状態にならなければ、申請ができませんのでご注意ください。
そしてマッチングサービス事業で認められる費用についてですが、こちらは『ITツールとして登録されたマッチングサービスパッケージ』でしか使うことができません。
たとえば『知り合いのシステム会社にスクラッチで作ってもらおう』といった場合、IT補助金を申請することはできません。あくまでIT補助金のツールとして登録されたパッケージを通して、マッチングサービスを開発する場合のみ使用することができます。
また、補助額もITツールであらかじめ決められた額の範囲内で設定されます。
なおTodoONadaの『マッチングワン』はITツールとして登録されたソフトウェアです。
IT補助金の利用が可能ですので、検討しておられる方は是非ご相談ください。
ものづくり補助金
持続化補助金より上限額が高く、IT補助金より自由に使える補助金、それが『ものづくり補助金』です。
補助金名 | ものづくり補助金 |
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補助上限額 | 750万円〜3,500万円(製品・サービス高付加価値化枠・要件により異なる) |
補助率 | 1/2~2/3 |
補助対象 | 中小企業・個人事業主 ※資本金・従業員規模が規定された規模を超えないこと (どちらか片方が基準以下であれば申請可) |
マッチングサービス事業で認められる費用 | システム構築費、システム購入費、クラウドサービス利用費、外注費、技術導入費、広告宣伝費等 |
注意点 | 補助金の趣旨に沿った、革新的な機能が必要 |
ものづくり補助金では、企業規模や応募する枠によっては、3,500万円と巨額の補助金をもらうことが可能です。
ただし、ものづくり補助金の趣旨に則った事業でなければなりません。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/18th/公募要領_18次締切_20240408.pdf
この通り『革新的な製品、サービスの開発』でなければなりません。
よってすでに存在するサービス・ありふれたサービスの開発事業計画を申請したとしても、恐らく採択される可能性は低いでしょう。
また、上限額は高く設定されていますが、高い費用を要求する際にはそれなりの根拠が求められます。
更に、採択されたとしても『補助事業期間』内に全ての開発を行わなければならないため、あまりに高機能なアプリやサービスは作るのが難しいとも言えるでしょう。
とは言え、文字通り『革新的なマッチングサービス』ならば、大きなプロジェクトでも補助金を使うことができます。またIT補助金と違い、スクラッチでの開発でも補助金を使うことができます。可能ならば交付のチャンスを逃したくない補助金と言えます。
補助金早見表
ここまで解説した内容を下記表へまとめました。
補助金名 | 小規模事業者 持続化補助金 | IT導入補助金 | ものづくり補助金 |
---|---|---|---|
補助上限額 | 50万円〜200万円(要件により異なる) | 50万円〜450万円(要件により異なる) | 750万円〜3,500万円(製品・サービス高付加価値化枠・要件により異なる) |
補助率 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4) | 通常枠は1/2、インボイス枠はおおよそ2/3 | 1/2~2/3 |
補助対象 | 小規模事業者 ※常時使用する従業員数が”商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く) “の場合5人以下 それ以外の業種は20人以下であること 個人事業主利用可 | 中小事業者 ※資本金・従業員規模が規定された規模を超えないこと (どちらか片方が基準以下であれば申請可) 納税証明書発行が可能であること 個人事業主申請可 | 中小企業・個人事業主 ※資本金・従業員規模が規定された規模を超えないこと (どちらか片方が基準以下であれば申請可) |
マッチングサービス事業で認められる費用 | マッチングサービスの企画・開発 集客のためのウェブサイト制作(単体不可) サービス認知度向上のための広報活動(単体不可) | ITツールとして登録されたマッチングサービスパッケージ 及びそれに付随する、登録された役務 | システム構築費、システム購入費、クラウドサービス利用費、外注費、技術導入費、広告宣伝費等 |
注意点 | 申請書内文章の作成・提出・商工会議所等の審査が必要 | 登録されたITツール以外の申請不可 IT導入支援事業者と共同での申請が必要 | 補助金の趣旨に沿った、革新的な機能が必要 |
マッチングサービス開発で補助金を利用する際のよくある質問
補助金を利用するにあたって注意したい点や、間違えやすい点についてご紹介します。
他にも、補助金でマッチングサービスやシステム開発を行う上で不明な点は、お問い合わせいただければと思います。
- すでにスタートしているプロジェクトへ補助金を使うことはできますか?
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いいえ、基本的に事業がスタートできるのは、補助金の交付決定を受けてからとなります。
すでにあるサービスや、開発がスタートしているサービスに補助金を使うことはできませんのでご注意ください。 - 1つのアプリ開発に2つの補助金を使うことはできますか?
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いいえ、基本的に1つの事業へ2つの補助金を使うことはできません。
たとえ用途が違ったとしても、別事業である必要があります。 - 恋愛系マッチングサービスへ補助金を使うことはできますか?
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各補助金で明示されている『申請不可事業者』の中には『インターネット異性紹介事業』等の項目はないため、申請は可能かと思われます。
昨今では行政と恋愛系マッチングサービスの提携も報道されているため、採択される可能性も十分にありえます。 - 申請から補助金の入金までどれぐらいの期間が掛かりますか?
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補助金には各申請期間があり、その期間内でしか申請ができません。
更に、申請締め切りから交付決定日・事業実施期間・報告・審査を経て補助金が振り込まれるため、約半年ほどの期間が必要となります。
マッチングサービスを運営するには?
『マッチングサービス』は、今大変需要が高まり、急成長している分野です。
ただし、その運営は決して簡単ではありません。
TodoONadaでは、マッチングサービスを低コストに始める方法や、サービスで決めないといけないこと・運用方法等について本ブログでご紹介しています。
各記事をご拝読いただければ幸いです。
また本記事でご紹介した内容を含め、各形態でのマッチングサービスを低コストで開発したいなら『マッチングワン』がおすすめです。
『マッチングサービスを開発したいけれど、あまりコストは掛けられない』『必要な機能をしっかり揃えたい』という方におすすめなパッケージとなりますので、ぜひ一度ご相談ください。