マッチングサービスの事業を計画するにあたって、最大の心配事は『ユーザーが集まるだろうか』という点だと思います。
例え自分のアイデアに自信があったとしても、結果は蓋を開けてみないと分かりません。時にはその不確実性に戸惑いを感じ、事業へ踏み切れない人もいるでしょう。
しかしそれは現在不動の地位を確立しているような大手サービスでも同じです。彼らも、悩みながら計画を建て、ときに成功し、ときに失敗しながら今の形へたどり着きました。
本日はそのような『マッチングサービスの開発秘話』をご紹介します。
Pairs 徹底して『新規会員獲得』に集中した戦略立案
現在マッチングアプリのシェア率で首位に立っているのが『ペアーズ』というサービスです。2012年に事業を開始したこのマッチングサービスは、現在では2000万人を超えるユーザーを獲得しています。
実はペアーズを開発した『株式会社エウレカ』は、もともとスマホ用アプリケーションの受託開発や、Web広告の代理業を行っていました。
なので仲介業のノウハウや、マッチングサービスとしての会員土壌は一切持っていなかったのです。
では何故ペアーズが成功したのかと言えば、それは徹底的に『新規会員数獲得』へ的を絞った戦略立案でした。
例えば以下のような記述があります。
マッチングサービスは、ヒトやモノの母数が多くないと成立しない。これは原則中の原則です。なので、会員数をリリース直後の最重要KPIに設定しました
初月の広告費には約200万円くらい割きましたね。2~3ヶ月目には800万円、4ヶ月目は1,200万円でした。広告運用開始から半年も経たない段階で1,000万円を超える規模での出稿になりました
『新規会員獲得のために広告費を惜しみなく使う』 『ITリテラシーの高い人だけでなく、それより圧倒的に数が多いローリテラシーの人を取り込む』といった施策により、シェア1位の座を獲得出来たことがわかります。
マッチングサービスの王道とも言える戦略を、最初に確立したサービスです。この開発秘話は是非とも読んでみてください。
Omiai『安全安心なサービスであることを多くの人に伝えたかった』
もう一つ日本で有名なサービスでいえば『Omiai』があります。
『Omiai』の特色はなんといっても『結婚を見据えた利用者が多い』ところにあり、現在は行政とも組んで結婚支援事業を推進しています。
しかし『Omiai』がリリースされた2012年は、まだまだ『出会い系サイト』が主流で、『アプリで合う』ことにリスクや後ろめたさを感じる人も少なくない頃でした。
そのようなイメージを払拭すること、そして安心してサービスを使ってもらうために、数々の施策を行っています。
当時はまだマッチングアプリという市場がなかったので、運営側への不信感がとても強かったんですよね。
それをできるかぎり払拭したいという想いから、本名で登録しているFacebookアカウントとの連携を必須にして、あえて出会い系のイメージとは正反対の「Omiai」(お見合い)というサービス名にしました。
Omiaiでは、“真面目な恋愛”というサービスの純度を守るために、真面目な目的でない人が居づらい空気をつくることを徹底しているんです。
ユーザーの体験を良くするために、どのような点へ気を配っているのか、大変参考になる開発秘話と言えます。
また『Omiai』の創業者である宮本邦久氏は、現在エンジェル投資家として名を馳せていますが、『Omiai』創業時には資金調達のため数々の苦労があったようです。
そのあたりの創業秘話も大変おもしろく、参考になる部分があるので、是非読んでみてください。
ランサーズ『企画は通らず、9割の人にうまくいかないと言われた』
次はクラウドソーシングについて見てみましょう。
現在クラウドソーシングの代表格である『ランサーズ』の開発秘話は、大変興味深いものです。
ランサーズは代表の秋好陽介氏が、もともとニフティで働いていた時期に思いついたビジネスだったそうですが、最初に企画を提出したところ『企画は通らず、9割の人にうまくいかないと言われた』とのことです。
その後夢を諦めきれず2008年に起業、しかし創業メンバーは弟さんの秋好聡氏と二人だけ。当時はとにかく限界が来るまで開発をする日々で、マウスに穴が空いたそうです。
その後、東日本大震災等を契機にユーザーが増え、社内の人員も30人~50人と多くなりましたが、それでも全く安定したとは言えませんでした。
社内の規模が大きくなるにつれ、意思疎通の問題が発生。
経営陣と社員の軋轢や、営業・運営部署と開発部署のディスコミュニケーション等、いくつもの問題が発生したそうです。
しかしそれらの危機を乗り越え、現在のランサーズはフリーランスなら誰でも知るサービスとなっています。
例えクラウドソーシング事業でなくとも、いずれ事業の規模が大きくなれば皆通るかもしれない問題について、触れられています。経営者にとって非常に参考となる開発秘話です。
Airbnb 資産無し・借金300万円から世界的事業へ
『マッチングサービスのサクセスストーリー』として最も有名なのは、何と言っても『Airbnb』でしょう。
『空き部屋をシェアする』ことで世界的に知名度があるこのサービスは、もともと自分たちのアパートにエアベッドを置いたことから始まりました。
とは言え、最初から『空き部屋をシェアする』サービスとしてスタートしたのではなく、はじめにスタートしたのは『ルームメイトのマッチングサービス』だったのです。
しかしこれは上手くいきませんでした。次に考えたのが『イベント向けのエアベッドを提供する』サービスでしたが、これも失敗に終わりました。
その後もいくつかアイデアを試した後、ようやくたどり着いたのが現在の形のAirbnbなのです。
なお、こういったサービスを作る人といえば、実家が太くて資産も持っている人を想像しがちですが、Airbnbの創設者はそのようなプロフィールとは真逆です。
”両親はソーシャルワーカーで薄給、銀行にあったお金はたった1,000ドル、カードの借金が3万ドル、おまけに投資家からの資金調達はすべて断られる”という、とても成功できそうにない状況です。
ではそのような状況から、いかにして世界的なサービスへ繋がったのでしょうか?
単なる読み物としても非常に面白い創業秘話です。ぜひご一読ください。
失敗談:マッチングアプリ個人開発したら逮捕されかけた話
ここまで成功談を語ってきましたが、成功例より何倍も数が多いのは失敗例です。そして『成功例は再現性が無いが、失敗例は再現性がある』という説もあります。
特に今回ご紹介するこの例は、気をつけることができる点です。
Zenで公開されている記事の筆者『しょーへー』さんは、『自分の出会いを増やしたい』という想いから、自分の通っている大学限定のマッチングアプリ『Sinder』を作りました。
それだけ聞けば、まるでFacebook創設者ザッカーバーグのサクセスストーリーのようですが、
現代でそれを行おうとした場合、数々の法律的な問題が発生するのです。
詳しい問題については記事内を見ていただければと思いますが、皆さんもマッチングサービス計画時には、関係法令をしっかり調査してください。
失敗談:レンタル商品のマッチングサイトはなぜ失敗したのか
もう一つ失敗談をご紹介しましょう。
こちらは『レンタルMALL』というレンタル商品のマッチングサイトプロジェクトの失敗談です。
記事内を見ていただけるとわかるのですが、このプロジェクトは単なる思いつきではなく、しっかりと資料も作成されており、コンセプトにも説得力があります。
実際、企画書は好評で、経営革新計画の承認も降りたそうです。
そしてこの方はエンジニアであり、自分の想像する機能を実装する技術もありました。
大変良い条件が揃っているように思えますが、しかしそれでも確実な成功は保証されません。
詳しい失敗要因は記事を読んでいただければと思いますが、下記の点は非常に感銘を受ける点です。
今考えたらわかるのですが、こういう場合は一旦、細部の気になる部分には目をつむり、 まずはベータ版として基本的な機能ができた段階でリリースを行ってユーザーの反応を見ながら必要な改善を随時行っていくアジャイルの開発手法でやったほうがベストだったということです。
成功談は世に多く出てきますが、失敗談はなかなか語られることがありません。しかし得られる教訓は失敗談のほうが多いでしょう。マッチングサービスを立ち上げる方には、是非読んでほしい記事です。
マッチングサービスを運営するには?
『マッチングサービス』は、今大変需要が高まり、急成長している分野です。
ただし、その運営は決して簡単ではありません。
TodoONadaでは、マッチングサービスを低コストに始める方法や、サービスで決めないといけないこと・運用方法等について本ブログでご紹介しています。
各記事をご拝読いただければ幸いです。
また本記事でご紹介した内容を含め、各形態でのマッチングサービスを低コストで開発したいなら『マッチングワン』がおすすめです。
『マッチングサービスを開発したいけれど、あまりコストは掛けられない』『必要な機能をしっかり揃えたい』という方におすすめなパッケージとなりますので、ぜひ一度ご相談ください。